こんにちは!ぼく、たかしです。ぼくと一緒に,チンペイ先生にやきもの作りを教えてもらいましょう!

チンペイ先生    たかし君

●●●このページではチンペイ先生とたかし君が、やきもの作りの工程を説明いたします!●●●

1.土をつくる。

やきものの原料は土と石です。
土は岩が熱水作用によって分解変質したもので、
その場所で土化したものを一次粘土、
河川などによって流され篩われた土を二次粘土といいます。
粘土は山や田んぼから掘り起こした土をよく乾かし、
一度水に漬けて漉して(水簸=すいひといいます)から、適度に乾かし、数カ月〜数年寝かせてから使用します。
都会でやきものをやる場合、この工程は陶芸産地の問屋さんにまかせて、
宅配便で送ってもらうひとがほとんどです。
アトリエ方丈庵も、信楽、京都、瀬戸などの産地から土を送ってもらっています。
ちなみに関東ローム層の土は耐火度が低すぎてやきものには不向きです。


2.土を練る。

土練りはやきもの作りの基本です。
土をよく練ることにより、土の中の気泡を抜いて、
固さを均等にして成形しやすくすると共に、作品が割れてしまうのを防ぎます。
問屋さんから出荷された土の中には、真空土練機と云う機械で練り、
気泡を完全に抜いてあるものもありますが、土練機の練り方向が焼成後に出る事もあるので、
やはり手でしっかり練った方が良いでしょう。
土練りは、まず荒練りをして土全体を均等の固さにしてから、
らせん状に土を回しながら揉む、菊練りと云う特殊な練り方で気泡を抜きます。
昔から「菊練り三年」と言われ、一朝一夕には出来ない練り方ですが、
アトリエ方丈庵では作陶を始める前に、ご自分で使う土を練って気長に練習します。
半年〜一年ぐらいでそれなりのコツみたいなものが会得出来るようです。


3.成形

土ほど人間にとって親しみやすい素朴な素材は無いでしょう。
日本最古の土器=縄文式土器や弥生式土器は紐状にした土を輪積みして作ったもので、
こうした成形方法は世界各国の古代文明にみられます。
日本では平安〜鎌倉時代ごろからロクロを使用し始めました。
ロクロ成形は大別すると、朝鮮系渡来人が伝えた蹴ロクロを使用する地方と、
大陸系渡来人が伝えた手ロクロを使う地方に分れます。
ロクロで曳いた作品は五分乾き〜七分乾きに乾燥した時に高台(茶碗の足)を削り出します。
曳き、削りの回転方向は地方、個人によって様々ですが、
最初に習った先生のやり方に影響を受けるようです。
ちなみにたかし君は、曳きは右回転(時計方向)、削りは左回転で、とチンペイ先生に
習いました。


4.素焼する。

成形の終わった作品はよく乾かしてから素焼します。
素焼は、絵付をしたり釉薬を掛けたりする時に壊れない様に素地を強くするため、
低い温度で焼成します。
焼成温度は土の種類にもよりますが、700℃〜800℃ぐらいです。
素焼をせずに釉薬を掛ける(生掛けと云います)と、
釉薬がめくれたり、はがれたりする事があります。
しかし茶陶の世界ではその失敗を「景色」として尊ぶ事もあります。
萩焼では、高台周辺の釉薬がめくれた部分を「カイラギ」と呼び、
茶碗の景色と考えるので、わざと素焼をしないそうです。
また、釉薬を掛けない備前焼などの焼締陶も素焼の工程を省きます。


5.絵付/施釉

素焼された作品は釉薬や絵の具で彩色します。
やきものの絵の具は、酸化した金属をよく擦ったものです。
代表的な絵の具の鉄絵は鉄錆=酸化第二鉄Fe
2O3が、
染付は酸化コバルト=CoOが主な成分です。
釉薬とは、石を粉砕して作った簡単に言えばガラスの原料のようなものです。
釉薬は粉末を水で溶いて使用します。
釉薬の液に素焼した作品を漬けるようにして施釉します。
かつては一子相伝だった釉薬の調合も、
最近は科学的に分析されて、陶芸材料店で市販されています。
アトリエ方丈庵では現在19種類の釉薬を用意しています。


6.焼成

施釉した作品は再び窯詰めして高温で焼成します。
赤松の薪で焼成する登窯や穴窯、ガス窯、灯油窯などがありますが、
アトリエ方丈庵の窯は電熱線で温度を上げる電気窯です。
焼成方法は大別すると、炉内に酸素を充満させる「酸化焼成」と、
炉内に一酸化炭素を送り込む「還元焼成」に分けられます。
都会の陶芸教室では安全で安定しているので、
電気窯をコンピューター制御して酸化焼成する方法が一般的ですが、
陶芸愛好家にとって登窯や穴窯で還元焼成された作品は憧れでしょう。
方丈庵では電気窯にガスバーナーで一酸化炭素を送り込む
「強制還元」と云う方法で還元焼成することも可能です。


7.窯出し

1230℃〜1280℃で、一般的な大きさの窯で10〜20時間ぐらい焼成した作品は
1〜2日かけて冷まします。
急冷すると作品にヒビが入ったりするので、あわてて窯を開ける事は禁物です。
炉内温度が200℃を切ったら窯出しします。
がっかりする事もありますが、やきもの作りで最高の緊張と喜びの瞬間です。
本焼から窯出しして完成、という場合もありますが、
有田焼や九谷焼などの作品は、本焼した素地に低火度で溶ける絵の具で
さらに絵付けをしてから700〜800℃でもう一度焼成します。
これを上絵窯、錦窯と云います。
上絵窯は本焼では出ない真紅や金銀など、鮮やかな色彩を出す事が出来ます。
方丈庵では上絵も学べます。


いかがでしたか?
おおざっぱですが、たかし君にやきもの作りをデモンストレーションして貰いました。
方丈庵では土練りから窯出しまでの工程を約一ヶ月でおこなっています。
皆さんが体験出来るのはやきもの作りの工程の一部分ですが、
ご希望の方には釉薬の調合や窯の焚き方もお教えいたします。
また、特殊な材料や焼成方法で仕上げる特別教室も随時開催したいと考えております。
陶芸は手軽に始められて、しかも奥が深く、生涯楽しめる趣味になる事でしょう。
やきものに興味はあるけど、どうしょうかな、と迷っている方、
是非一度、お気軽にアトリエ方丈庵へ遊びにお越し下さい。

※チンペイ先生、たかし君の存在はフィクションです。実在の人物とは何の関係も在りません。念のため。


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